Friday, October 12, 2007

We are all winners - 3

とうとう始まった。予想では5分くらいは混雑でもたつくであろうと見越していたのもつかの間、開始早々2分程で自分のポジションが走り出した。スタートラインからコース両脇にはびっちりと隙間の無いくらいの観客が応援してくれている。このどこかにきっとelがいるのだろうと思いながら、大観客の中を通り抜ける。

「マイペース、マイペース」自分に暗示をかける。だいたい今までのイベントを思い返すと、最初にスピードをあげてしまう傾向にある。ついつい、観客の前では余分に力んでしまうようだ。さすがにフルマラソンを飛ばしすぎると、完走すらできない可能性があると念じ、あくまでマイペースを貫く。

開始して1分程すると、ミレニアムパークを出る直前、コース全体の上に大きな橋が掛かっている。そこには大きなシカゴマラソンのスポンサーのバナー広告があり、「You inspire us」(貴方が私達を奮い立たせる)と大きくコピーが書いてある。そのバナーの周りから多くの観客がこちらを見ている。「観客と一体化した環境を利用してメッセージを最大化する素晴らしい広告例だな」と、走りながらもついつい職業病が出る。

1mileから5mileまでは、今日のランニングペースに馴染むことに徹する。約3万5千人のランナーが同時に走っていることや、大勢の観客がいることによって興奮状態をおさえることを意識する。ペースは作戦通り7分50秒/mileを守る。このペースで行けば、多少後半戦でペースが落ちても、目標タイム3時間30分をクリアできる計算だ。

先頭を走るいわゆるワールドクラスアスリートはどれくらいのペースで走るのかというと、だいたい約4分50秒から5分/mileで走り続ける。去年の優勝者のラスト1mileはスパートもあり4分/mileだったらしい。とにかく恐ろしいスピードだ。

5mileを超えたところで、いつもトレーニングをしているLincoln Parkへ差し掛かる。前日からしっかりと水分補給したせいか、どうも我慢が出来ず、また用を足す。これはトレーニングの時から分っていたが、ある一定間汗をかき続けると体の水分が膀胱へ到達する前に汗で出てしまうのか、一切トイレが必要なくなる。そのポイントに達するまで、用を足すのは仕方が無い。案の定、これから数リットルもの給水をするにも関わらず、この時点からトイレに行くことは無かった。

6mileを過ぎたところでLicoln Parkを抜け7mileを超えWrigley Villeへ。先日、シカゴカブスがプレイオフで負け、ワールドシリーズ出場を逃したそのホームグラウンド近辺である。カブスグッズを身にまといながら観戦している人が当然多くなる。

開始後約1時間が経過し、気温がぐんぐんとあがっているのを身をもって感じる。応援に着てくれる職場の皆に「坊主の日本人ランナーはそういないから目立つやろう」と言っていたのだが、当日の日差しを見越して急遽帽子をかぶって走ることにしたのは、このマラソンでも大きな決断の1つであった。帽子が無ければ間違いなく日射病に掛かってリタイアしていたであろう。

8mile近辺は、通称Boys Townと呼ばれるゲイの人達が多く住むエリア。女装をしたゲイのチアバンドがライフルの形をしたバトンを持ちながら必死に応援してくれている。これにはさすがに笑顔をもらう。

昨晩の戦略会議通り、9mile時点で持参して走ったEnergy Gelを食べる。これには運動に必要な栄養分が入っており、食べると約10分後ぐらいに体力が多少回復するのである。シカゴマラソンでは通常約2mile毎に給水場所があるのだが、Enegy Gelが供給されるのは約17.5mile地点を過ぎたところ1箇所のみ。フルマラソンでは自分の体格の場合約3200kcalが消費される。エネルギーを消費してしまう前に、正しいタイミングでEnegy Gelを食べ、一定のエネルギーを常に体に残す必要がある。

10mile地点で、会社の同僚のオランダ人Osが応援に駆けつけて来てくれる予定だったので、観客に注意を配り探しながら走る。スタートしてからこの時点まで、コースの脇にいる観客が途絶えたことは一度もない。しかも常に満員状態である。どれだけの人数がこのシカゴマラソンに参加しているのかと想像する。すごい群衆の中から、Osと奥さんのMm、娘のZyを発見!お互い興奮状態で会話もまともにかわせないながらも、しっかりとハイファイブを交わし、このマラソンの合い言葉「RUN RUN RUN!」と大声で歓声をくれる。自然と足が軽くなる。ペースも開始してから7分50秒/mile台をキープし続けている。

12mileに差し掛かる家から1ブロックのところにあるWellsとOntarioの交差点ではelと一緒にケアンズの結婚式にも着てくれたケニア出身のNbが待ってくれている。それを楽しみに、ただひたすら走る。分ってはいたが、ただただ果てしない距離を走るのみ。

今までの大会でもそうであるが、コースの大抵左側を走るようにしている。左に曲がることが多いことと、応援しに来てくれている人に分りやすいようにだ。

いた!スタート前に別れてから初めての再会。この時点ではまだまだ良いペースが維持できていたため、言葉を交わす暇もなくただただ応援に着てくれた2人にありがとうの感謝を伝え、後半戦へのスタートを切る。応援のおかげで少し足が軽くなったのもつかの間、ハーフマラソンであればもうゴールだったのにと、あらためてフルマラソンの厳しさを痛感する。そして気温は更にあがりこの10時の時点で約29℃に達し、暑さも本格的に増し始める。

2 Comments:

At 10:56 PM, Anonymous Anonymous said...

yoshiさん

"Run Run Run" なかなか画になってるね。そして臨場感たっぷりの文章に、脱帽。おかげで自分が走ってる最中に感じてたこともよみがえってくるわ。まだまだ鮮明に記憶が残ってるし少し思い返すだけで、ドキドキできる。やっぱりインパクトの大きいイベントやったんやと改めて実感しております。

 
At 11:11 PM, Blogger yoshiamigo said...

tamaさん、
そやろ?「Run Run Run」があったおかげで、マラソン中も色んな人に声かけてもらえたわ。同ペース内では多少目立ってたみたいで、最後約2mile地点のところで、声を掛けられてんけど、どうやらずっとペースが一緒やったらしい人から名前も覚えられてたみたいや。tamaさんもこの一生に一度の思い出をしっかりと書き留めておいた方がええんちゃう?この際、ブログを開設してみたら?

 

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