One step closer


ストレッチと簡単なアップをすると「スタートまであと15分!」カウントダウンのアナウンスが流れる。気持ちが徐々に高ぶり、心地よい緊張感を楽しむ。開始5分程前にシカゴ市長のスピーチ。市長もスタート前の皆の興奮状態を悟ったのか、とても簡潔に挨拶。開始3分前、会場の盛り上がりはピークに達する。


いよいよスタート!

8Kのコースは、シカゴのダウンタウン内で完結する。道路は通行止めになり、大勢のランナーが街中を全速力で駆け抜ける。
前に何千人もの人が走る中、ひたすら走る。まるで、前にいる群衆に引っ張られ、後ろから来る群衆に押されるように走る。明らかに通常の自分のペースではない。
1mile(約1.6k)通過の看板とタイムがちらっと見える。まだ1mile。
息があがり始め少しペースを落としたいと思いながら、大勢の人が自分の前を走り、後ろから自分を抜き去ろうとする人に惑わされ、無理なペースを貫く。
2mileぐらいを走ったところであろうか。もういい加減ペースを落とさなければ、心肺機能が持続できないところまで達し、若干ペースダウン。普段は意識もしないような緩やかな坂が、とてもきつい。ペースを落とした瞬間後ろから人に抜かれる頻度とその人数が増える。頭に「歩く」ことや「リタイヤ」がちらつき、あらぬ欲望をあわてて消し去る。街頭では、多くの観衆が応援をしてくれている。「Looking good! Looking good!」という言葉が耳に入る。「その調子。頑張れ!」みたいなものであろう。このかけ声がとても有り難い。
3−4mile間は若干ペースを落としながらも、持ち前の負けん気で必死に前方にいる人にくらいつこうとする。朝ご飯食べ過ぎたかもしれない等、言い訳臭いことを考えながら、頭の中で早く終わらせたいと強く願う。
そして、ダウンタウンの高層ビル街を抜けゴールのGrand Parkと高層ビルの間を突っ切るミシガンアベニューに到達。残すところ1mile。横っ腹が痛む。肝機能が金縛りにあったような感覚。意識も少し遠のいている。これは本当にペースダウンをしないとリタイヤなると察し、ペースを調整。そうこうしているうちに、後ろからとてもふくやかな、明らかに自分より体重が重い女性に抜かれる。「もうだめ。。。」弱気と悔しさが入り交わる。

大勢の観客が見え、応援の大歓声が聞こえた瞬間、足が軽くなりゴールへ直行。
ゴール!!!!!!

タイムは36分35秒。完走者23,865人中 1,404位。これは、完走者の上位6%以内に入る成績。これらのタイムと順位は、全ランナーに配られる靴に着用するチップで集計され、http://www.shamrockshuffle.comに公式記録として公表されている。
人生初の公式ランニングイベントに参加した今回の経験は、想像以上に有意義なものとなり、次の大会に向けて課題を与えてくれるものとなった。大会出場の要領、スタートの位置取り、ペースの重要性、本番の緊張感等、まだまだトレーニングをしなければいけないことが山積みである。

その日の晩、共に走った人と応援に来てくれた皆で焼き肉を食べ、充実感に浸った。
