One step closer
この日曜日、とうとうShamrock Shuffle 8Kに参加!当日は9時30分スタートに向けて7時30分に起床し、いつものようにバナナとコーヒー、そして特別に用意してくれた蒸し鳥と、ご飯を食べる。この日を待っていたかのように今年シカゴで一番暖かい日となり、日中は27℃まで気温があがる。
9時前に現地到着。シカゴにこれだけのランナーがいたのかと驚く程多くの人で既に賑わっている。今日は約4万人の参加者(8K参加者約3万人、5Kウォーキング参加者約1万人)とその連れ添いの人達、街頭で応援してくれる人、ボランティアスタッフ等を含めて計約5万人はいるのではないかと思う。要領もわからず、とてつもなく広い会場をさまよいながら、ようやくオープン参加者対象の中で最前列のスタートポジションを見つける。
ストレッチと簡単なアップをすると「スタートまであと15分!」カウントダウンのアナウンスが流れる。気持ちが徐々に高ぶり、心地よい緊張感を楽しむ。開始5分程前にシカゴ市長のスピーチ。市長もスタート前の皆の興奮状態を悟ったのか、とても簡潔に挨拶。開始3分前、会場の盛り上がりはピークに達する。
そして、アメリカ国歌斉唱。アメリカではスポーツイベントの前にたいてい国歌斉唱を行う。歌手の歌声にリードされながら、会場にいる全員が歌う。あれ程の盛り上がりで収集がつかない状態だった会場を、国歌斉唱で瞬時に場の雰囲気を1つにする。これが、まさにThe United(団結の)Statesである。
国歌斉唱が終わり間もなく、自分の前にいる大勢の人が前に動き出した。特にスタートのピストルが鳴ることもなく、もうレースは始まるようだ。
いよいよスタート!
最初は予想通り、血栓が詰まるように人でごった返しなかなか前に進むことができない。道路端の方を見ると、どうやら流れが若干よさそうなので、しばらく様子を見ながら端を走ることに。1−2分程してようやく走りができるようになる。走り出したらもう流れには逆らえない。
8Kのコースは、シカゴのダウンタウン内で完結する。道路は通行止めになり、大勢のランナーが街中を全速力で駆け抜ける。
前に何千人もの人が走る中、ひたすら走る。まるで、前にいる群衆に引っ張られ、後ろから来る群衆に押されるように走る。明らかに通常の自分のペースではない。
1mile(約1.6k)通過の看板とタイムがちらっと見える。まだ1mile。
息があがり始め少しペースを落としたいと思いながら、大勢の人が自分の前を走り、後ろから自分を抜き去ろうとする人に惑わされ、無理なペースを貫く。
2mileぐらいを走ったところであろうか。もういい加減ペースを落とさなければ、心肺機能が持続できないところまで達し、若干ペースダウン。普段は意識もしないような緩やかな坂が、とてもきつい。ペースを落とした瞬間後ろから人に抜かれる頻度とその人数が増える。頭に「歩く」ことや「リタイヤ」がちらつき、あらぬ欲望をあわてて消し去る。街頭では、多くの観衆が応援をしてくれている。「Looking good! Looking good!」という言葉が耳に入る。「その調子。頑張れ!」みたいなものであろう。このかけ声がとても有り難い。
3−4mile間は若干ペースを落としながらも、持ち前の負けん気で必死に前方にいる人にくらいつこうとする。朝ご飯食べ過ぎたかもしれない等、言い訳臭いことを考えながら、頭の中で早く終わらせたいと強く願う。
そして、ダウンタウンの高層ビル街を抜けゴールのGrand Parkと高層ビルの間を突っ切るミシガンアベニューに到達。残すところ1mile。横っ腹が痛む。肝機能が金縛りにあったような感覚。意識も少し遠のいている。これは本当にペースダウンをしないとリタイヤなると察し、ペースを調整。そうこうしているうちに、後ろからとてもふくやかな、明らかに自分より体重が重い女性に抜かれる。「もうだめ。。。」弱気と悔しさが入り交わる。
ここから左脳的思考をすると、ペースを再度調整し落ち着かせてから安全にゴール。右脳的思考をすると、根性とプライドで、あの恰幅のいい女性を意地で抜き返す。論理的判断力が低下していることもたすけ、まんまと後者を選択。ひたすらくらいつく。楕円状の橋を渡る上り坂を死にものぐるいで駆け上がり、ようやくゴール前最後の直線に。その時点で、既にあの女性との差は修復不可能な距離になり、諦める。
大勢の観客が見え、応援の大歓声が聞こえた瞬間、足が軽くなりゴールへ直行。
ゴール!!!!!!
もう限界。ゴール直後、左によろけてしゃがみ込む。本当に体力の限界まで走った。出せるものは全て出し切った。いずれにせよ、これ以上は無理である。大満足。
タイムは36分35秒。完走者23,865人中 1,404位。これは、完走者の上位6%以内に入る成績。これらのタイムと順位は、全ランナーに配られる靴に着用するチップで集計され、http://www.shamrockshuffle.comに公式記録として公表されている。
人生初の公式ランニングイベントに参加した今回の経験は、想像以上に有意義なものとなり、次の大会に向けて課題を与えてくれるものとなった。大会出場の要領、スタートの位置取り、ペースの重要性、本番の緊張感等、まだまだトレーニングをしなければいけないことが山積みである。
後にNike+で記録を確認すると、然程ペースダウンをせず、ほぼフラットのペースで走り切っている事に驚く。おそらく精神的にペースダウンしただけで、足は走り続けていたのだろう。ゴールした後、あまりにもばてていたのでしばらくiPodのランニング終了スイッチを押すことすらできなかった。
その日の晩、共に走った人と応援に来てくれた皆で焼き肉を食べ、充実感に浸った。